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2022年5月

2022年5月 2日 (月)

「楷(かいじゅ)の会」会報第10号

会  報 第 10 号
令和4年5月2日


東畑精一博士と楷(カイノキ)


 東畑博士は「庭には珍木中の珍木である楷(カイノキ)がある(博士は楷を「かいじゅ」と称していました。(日本経済新聞』(昭和32年3月25日))と紹介していました。

 楷(カイノキ)はウルシ科で、和名をランシンボクといいます。古くは「淮南子」という古書に出ていて、幹や枝はまっすぐに伸びて曲がらないと書かれ、当時から珍しい木でありました。このような楷(カイノキ)は孔子と縁が深く、楷書のような風貌を呈していることから「学問の聖木」とされています。この木の繁殖はたいへん難しく、挿し木や取り木では発根せず、実生でもわずかな確率で発芽するにすぎません。用途は意外に広く、新芽や若葉は菜のように食べることができ、茶のように飲めるということです。種子から油がとれ、材は硬くて、杖、笏、碁盤などに利用できるようです。

 日本では、明治から大正ごろ、林学の大家であった白沢保美博士(1868年~1947年)が中国の泰山にある孔子廟から楷(カイノキ)の実を持ち帰って、林業試験場で苦心惨憺して数本の芽を出させた。その貴重な苗を、孔子に縁の深いところ(湯島聖堂、金沢文庫、佐賀県佐久市の孔子廟など)に配ったのが、日本での楷(カイノキ)の始まりでありました。

 東畑博士家にある楷(かいじゅ:カイノキ)は、戦前東大の園芸学教授浅見与七博士(1894年~1976年)が中国の曲阜にある孔子廟前にある楷(カイノキ)の大木を見、あたりに落ちていた実を数個ばかり持ち帰り大学で発芽を試みたものでありました。東畑博士は発芽した5~6㎝くらいの苗鉢をもらってきて、自宅の庭の日当たりのよい風が防げるところに植えました。順調に育って夏には庭の緑陰を作るまでになりました。

 東畑博士は「わが名はすぐに消えていく。しかし楷(かいじゅ)は今から数百年経っても大きく残り、曲阜の親木くらいにはなるかもしれない。」と言っていました。浅見博士が発芽させた苗の中では、残ったのは東畑博士家のものだけだったらしい。


「2」の価値観


「楷(かいじゅ)の会」の命名者によると、東畑精一博士を深く考察する中で、見出されたものに「2」があり、「2」は数字とも文字ともとれますが、単なる数字・文字ではなく、東畑精一博士の価値観であると命名者は捉えています。
この価値観ともいえる「2」は、東畑精一顕彰会の命名やその後の会の運営にも深くつながっています。

 命名者の深い考察の中で、会の名称は木の名前とするということを見い出し、「2」の木であるものが楷(かいじゅ)であることを解読するのは命名者にとって困難なことでした。

 その木は葉が2(対生状)であり、樹皮が2を描き、2期性(常緑期、落葉期)であることを考察で得て、ネムノキは樹皮が異なり、クスノキは常緑で異なるなど、一致するものを探す中で、楷という木が博士の生活の中にあったことがわかり、命名にいたりました。

 また、「2」を基調とした会の運営が会の発展につながるものと考えています。


楷(カイノキ)の記念植樹


 東畑精一顕彰会「楷(かいじゅ)の会」は2020年2月に発足しました。名称に使っている楷(カイノキ)を関係場所に植樹しよう思っていましたが、楷はたいへんな珍木で、繁殖がたいへん難しい樹木で、なかなか手に入れることはできませんでした。

 しかし、全国各地の知人たちに入手を依頼していた結果、1月に九州の方で栽培されていた楷(カイノキ)の幼木をうまく入手することができました。

 2月は東畑博士の誕生月(2月2日生まれ)でもあり、今月は2という数字(2022年2月)が並んでいると同時に、顕彰会「楷(かいじゅ)の会」(2020年2月に発足)の2周年に当たります。そのことから八方手を尽くして入手した楷(カイノキ)を東畑博士の関係場所に記念植樹をすることにしました。

 まず、2月2日(水)(午後2時)に東畑博士の生家の前庭に、東畑博士の誕生(123年前の2月2日)と「楷(かいじゅ)の会」の2周年を記念して楷(樹高1.2m、1本)を植樹しました。植樹に当たっては現在所有されている中川電化産業(株)の社長はじめ関係者に植樹していただきました。植樹の穴を掘り、木を植えたのち、施肥やかん水を行い、支柱を建て、煉瓦で株の回りを囲みました。記念植樹の看板は後日中川電化産業(株)に作成していただきました。

 次に、東畑記念館の庭園には2月2日に「楷(カイノキ)」を仮植し、3月1日(火)に株式会社東畑建築事務所の所員(辰巳様、赤松様(お二人は「楷(かいじゅ)の会」会員です。)により本植えすることができました。当日は雨降りでしたが、植樹の周りに盛り土をして、肥料を少し施しました。

 さらに、農業塾の2月講座(2月12日)でサトイモや畝作り実習を学習した後、「農業塾」開講10周年の記念行事として「楷(カイノキ)」を植樹しました。コロナ感染者の高止まりで欠席者が多い中、学習意欲の高い参加者を中心に実習農場に植樹しました。2月という時期は植樹や植え替えに最適な時期でもあり、春になると勢いよく新芽を出してくれると思いました。


第1回総会の開催


「楷(かいじゅ)の会」が発足して2周年になりました。この会をさらに深化発展し永続性を図るため、総会(4月2日)を開催し、会員の皆様の当会へのご理解とご協力をお願いすることになりました。
 コロナ禍の中での一堂に会しての開催は好ましいとは言えないので、書面決議という方法で開催したところ、会員全員の賛成をいただき、4月2日から新しい規約のもと活動することになりました。今後ともよろしくお願いします。


 

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