「楷(かいじゅ)の会」会報第21号

会 報 第 21号
令和7年2月2日


農業近代化形成前期の農業事情


 近代農業の形成を見ていくと、明治10年末から30年代にかけて、顕著な上り坂があった。米の有名品種が育成されたり、金肥の使用が増大し、大豆粕の使用も始まった。また、牛馬耕が普及したのもこの時期であった。さらに、「豪農」層が不耕作地主になりつつも、新農法推進の担い手として活躍した時期でもあった。この時期が近代農業の出発点としておかれているが、それは徳川時代からの連続として考えられなければならない。

 徳川時代は、参勤交代制があった。この制度は政治的中心地として登場した江戸の一大商業都市化(これまでは藩を超えた全国都市として京都・大阪の二大都市があるにすぎなかった)に拍車をかけた。交通路・宿駅・通信機関が発達し、全国的な交通通信の網が編まれたのであった。都市への人口集中(元禄時代)は、大都市として江戸(35万3千人)、大阪(34万5千人)、京都(35万8千人)があり、名古屋、金沢、長崎、堺は6万人を超え、広島、岡山、姫路、福井、徳島、博多、熊本、高田、秋田等は2万人を超えていた。そのため、都市需要における商業的蔬菜栽培だけでなく、生活必需品の大量需要も引き起こし、広く各地からの供給によって支えられなければならなかった。これらのことは、農業生産の多様化を引き起こし、米を中心とした主穀農業から、工芸作物を多く取り入れたものになったのであった。

 商品経済発展は、農業技術の発達に顕著な影響を与えた。よく知られているのは、扱箸(こきはし)に代わって千把(せんば)扱き(当初は竹製であったがまもなく鉄製の刃の者へと改良された)が急速に普及し始めた。千把扱きは扱箸より10倍の能率を上げたといわれ、これによって脱穀作業の能率が飛躍的に向上した。おかげで、裏作の適期作業を行うための制約が緩和せれ、二毛作の発展の契機にもなった。こうした脱穀調整過程の進化は、土臼、唐箕、万石(まんごく)通しの登場と相まって調整の過程でも精度が高くなった。このような労働用具(農機具)の発達と並行して、農機具自体の生産においても特産地が形成されていった。

 また、耕種上では、農書類がこのころ(元禄時代)から現れ始めた。「農業全書」(宮崎安貞)、「会津農書」などの出現である。さらに、購入肥料として、干鰯、粕類(油、酒)も出始め、特に干鰯は大阪が集散地として機能していた。しかし、稲作に干鰯の使用が見られたのは、近畿・関東のみで、ほかの地方はそれより下って天保以降のことであった。

 こうした江戸時代の農業の経済的・耕種的発達とともに、生産力も大きく上昇した。鎌倉府祖法から文禄田祖法(太閤検地に際して定められら)に至る約400年間に1割の反収増加(反当1石)にすぎなかった米は、100年ほど下った貞享(じょうきょう)田祖法では約2割弱の反収増加を示した。さらに、貞享田祖法から地租改正(明治6年)までの約200年は、約2割強の反収増加を示した。

 耕地面積の増加テンポも同じような状況であった。文禄・慶長の検地では、150万町歩であったのが、徳川中期には297万町歩となり、約100年間に約150万町歩増加した。その後地租改正までの200年間は、ほぼ同じような増加であった。


松阪市後援・農業塾 ―ミカン狩りー


 11月9日の農業塾は、休日にも関わらず、三重県立相可高等学校のご協力で、ミカンの収穫体験(ミカン狩り)を行いました。相可高校には生産経済科の実習場として果樹園があり、3年生の果樹専攻生(8人)から、ミカンの種類(特に温州ミカン)や収穫の仕方を説明してもらいました。専用の収穫用具(採果ばさみ、収穫かご等)を使い、てばやく丁寧に収穫するためのかなりの技術が必要であることを学びました。

収穫しながらの試食が魅力的であり、また自分で収穫したミカンを持ち帰りできるという楽しさが加わり、記念に残る一日でした。


津市稲葉公民館への出前授業 ―正月飾りー


 津市稲葉公民館では年末にふさわしい「正月飾り」をテーマにした講座がありました。この講座は、東畑精一顕彰会「楷(かいじゅ)の会」(農業塾)が今年度も出前授業を行いました。昨年までは、松竹梅の盆栽作りでしたが、今年は正月行事について、多くの知識を得た上で、「ミニ門松」を作りました。

長さの異なる3本の竹を中心に松と梅の枝を配置し、さらに周囲に葉ボタンと千両をあしらい、彩をつけました。受講生の皆さんは、初めての門松作りでしたが、手際よく組み立て、大変立派な「ミニ門松」を作り上げることができました。この門松を家で、飾り付けることによって、正月には年神様を気持ちよくお迎えでき、今年一年を何事もなく、幸せに送ることができると思います。


東畑記念館 第4回 一般公開について


 東畑記念館の第4回一般公開を下記のとおり行います。
多くの皆様のご来館をお待ちしております。

日時:令和7年2月2日(日) 10時~15時
場所:東畑記念館 (三重県松阪市嬉野川北町530)

※第5回一般公開は、令和7年3月2日(日)10時~15時の予定です。


「楷(かいじゅ)の会」会報第21号
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