【病害】 ジャガイモ・ウイルス病

このたび、当農場にて発生しました、ジャガイモの種イモからのウイルス病について、まとめましたので、参考としてください。

●2013年3月2日、自家採種のジャガイモの定植を行いました。
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これは、学習のために行ったものであり、このホームページをご覧になって、自家採種のジャガイモを使って生産することのないようにしてください。



●2013年4月13日、ジャガイモが出芽してきました。
この時から、葉のふちの周囲が縮んだような葉で、素直な出芽でないことが見受けられます。
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●2013年4月20日、明らかに葉脈に沿った萎縮が認められ、特に先端の展開葉で小葉となり、葉のふちを囲むように黄化が認められました。
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●2013年4月27日、先端の上位葉の病徵が顕著であり、下位葉は正常となっている株も認められました。
これは、病原となるウイルスが、特に先端部の新葉に集まりやすいことを示唆しているのではないかと思います。
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●2013年5月4日、これは正常株と、異常株との比較です。
たまたま、両者が隣同士となり、比較が容易にできたものです。
こうして比較すると、異常株(右)は、明らかに生育遅延(停止)の状態にあることがわかります。
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●2013年5月12日、気温が上昇したためか、一気に中心部から黄化が始まりました。
気温上昇により、ウイルスの活動が活発化したためだと思います。
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●2013年5月18日、黄化からさらに1週間経過すると、半枯れ状態となりました。
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●2013年5月18日、異常株が半枯れ状態となった同じ日の正常株です。
花芽がついています。
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●2013年6月1日、異常株はとうとう、枯死状態となってしまいました。
収穫は、ほとんどゼロ状態(小イモが若干ある程度)でした。
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●2013年6月1日、異常株が枯死状態となった同じ日に、正常株の収穫をしたものです。
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ジャガイモのウイルス病は、ウイルスを保毒したアブラムシによって媒介されています。
ジャガイモに限らず、ウイルス病にかかった植物体は、治療のすべもなく、廃棄するほかにありません。
種イモを見ただけでは、ウイルス病に感染しているかどうかはわかりません。
ウイルス病に感染していた場合は、全滅に近い減収となり、経済的被害は大変大きなものになります。
このため農業者は、食用のジャガイモや自家採種した種イモを使わず、毎年、無病の種イモを購入し、栽培をしています。

ジャガイモ(馬鈴しょ)は、日本国家の重要な作物として、植物防疫法という法律に基づく指定種苗となっており、無病の種イモを生産することを法律で定められています。
植物防疫法上の検査に合格したものは、合格証票が付けられ、未検査の種イモを流通させることは禁止されています。

今回の学習を通じて感じたことは、ウイルスの動きを観察して、ウイルスも生命体として生きている、ということです。
ウイルスは、ウイルス自身が生命の最小単位である細胞を持たないため、生物学上は非生物として分類されています。
個人的な感想ということで、ご理解をお願いしたいと思います。(F)

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